平面作品と彫刻作品の魅力を併せ持つ特異なレリーフ南瓜です。南瓜は草間にとって幼少期から心の拠りどころであり、人生を通して繰り返し取り上げられてきた重要なモチーフです。彼女は2010年の詩「南瓜について」で「南瓜は愛嬌があって／すばらしく野性的でユーモラスの雰囲気が／人々の心をとらえてやまない」と語り、さらに「世界中の人類たちの平和と人間賛美に寄与して／心を安らかにしてくれる」と記しています。本作においても、ふくらみを持つ南瓜のフォルムはユーモラスで親しみやすく、同時に人類の希望や生への歓喜を象徴する普遍的な存在として立ち現れます。鮮やかな黄とリズミカルな黒の水玉模様によって強調された造形は、視覚的なインパクトのみならず、鑑賞者に安心感や高揚感を与えます。草間にとって南瓜は「心の故郷」であり、無限の精神性を宿す象徴ともいえるものですが、その精神はこのレリーフ作品にも息づいており、世界中の人々に向けて平和と生命の賛歌を力強く発信しています。

「南瓜について」 南瓜は愛嬌があって すばらしく野性的でユーモラスの雰囲気が 人々の心をとらえてやまない。 わたし、南瓜大好きなの 南瓜は私にとって 幼い頃より心の故郷として 無限大の精神性をたずさえて 世界中の人類たちの 平和と人間賛美に寄与して 心を安らかにしてくれるのだ。 南瓜は私にとって心の中の 詩的な平和をもたらしてくる。 南瓜は語りかけてくれるのだ。 南瓜、南瓜、南瓜、 わたしの心の神聖な佇まいをもって 世界の全人類が生きている 生への歓喜の根元なのだ 南瓜のために私は生き抜いているのだ。 2010 草間彌生」



Location: Shinwa Storage 新和かもめ町 (Tokyo, Japan)
Status: Completed
*Indoor display only