
Yayoi Kusama
2021年から展開されている同名シリーズ「毎日愛について祈っている」に属する作品であり、草間が晩年においてもなお追求し続ける「愛」と「祈り」のテーマを鮮烈に体現しています。本作(2024)は、明るいオレンジの画面を基調に、大小の赤い円形が浮遊し、その周囲を覆う黄色い網目模様と、散りばめられた青の点描がダイナミックなリズムを生み出しています。赤い円は生命や宇宙の根源的なエネルギーを想起させ、その背後には草間芸術の象徴である「無限の網」が反復的に広がります。そこに散らされた青の点は、まるで希望や祈りの光のように、画面に輝きを与えています。タイトルに示されるように、草間は日々の制作行為を通して「愛」を世界に送り出すことを自らの使命とし、それを作品として具現化してきました。本作は、その切実な思いを抽象的かつ直感的な造形へと昇華しています。53×45.5cmという比較的小ぶりなキャンバスでありながら、画面全体から発せられるエネルギーは圧倒的であり、草間芸術の根幹にある「生きることへの賛歌」を力強く伝えています。