イン・ザ・スタジオ:ヒルミ・ジョハンディ

  • ヒルミ・ジョハンディはシンガポールに残るアーカイブ画像や映像からモチーフを得て、舞台装置を建てるように自身のペインティングの中で組み合わせる。その手法は、コラージュから発想を得たものだ。スケール感や空間の隔てに手を加えることで作品の中に現れる複数の「面」は、時空間の歪みを示唆し、また見慣れたモチーフに新たな視点をもたらす。今回は作家のスタジオに赴き、近作と現在制作中の作品について語ってもらった。

  • オオタファインアーツ(オ):作品には、既存の画像や映像から得たモチーフへの言及が見受けられます。こうしたイメージを作り手としてどう選ぶのか、またそこにはどのような重要性があるのか、お話しいただけますか。 ヒルミ・ジョハンディ(ヒ):まっさらなキャンバスに描くことは、絵を構築し、その意味付けをすることだと考えています。これは、私が言及するイメージ自体がどう作られたかと関連していると思います。私はアーカイブからのイメージを集めてきました。主に1980年代、90年代のシンガポールのポストカードやポスターです。それらは過去の歴史的な記録でありますが、特定の美や快楽を描写するために作られたものなのです。言い換えれば、それらは消費者にユートピア的な理想像を与えるために作られました。絵を描くことと、イメージを構築することが平行して存在することは興味深く、自分の作品の中でその対置関係をさらに探索しています。

    オオタファインアーツ(オ):作品には、既存の画像や映像から得たモチーフへの言及が見受けられます。こうしたイメージを作り手としてどう選ぶのか、またそこにはどのような重要性があるのか、お話しいただけますか。

     

    ヒルミ・ジョハンディ(ヒ):まっさらなキャンバスに描くことは、絵を構築し、その意味付けをすることだと考えています。これは、私が言及するイメージ自体がどう作られたかと関連していると思います。私はアーカイブからのイメージを集めてきました。主に1980年代、90年代のシンガポールのポストカードやポスターです。それらは過去の歴史的な記録でありますが、特定の美や快楽を描写するために作られたものなのです。言い換えれば、それらは消費者にユートピア的な理想像を与えるために作られました。絵を描くことと、イメージを構築することが平行して存在することは興味深く、自分の作品の中でその対置関係をさらに探索しています。

  • (オ):ペインティングやビデオ作品において、コラージュの要素が明らかに見えますが、これはあなたの作品制作にどのような影響を与えてきましたか。 (ヒ):私にとってコラージュはとても重要です。それが単に異なる要素を組み合わせる方法というだけではなく、それによって作品の中にある種の「事件」が生まれないかを見ているのです。ペインティング、ドローイング、ビデオ作品、いずれにおいても、予想不可能な何かを探しています。コラージュのプロセスにおいては、普段絵の中に予測されることを置き換えることで、予想しえないことに出会う可能性が高まるのです。
    Installation view: "Painting Archives", Rumah Lukis, Malaysia (2019)

    (オ):ペインティングやビデオ作品において、コラージュの要素が明らかに見えますが、これはあなたの作品制作にどのような影響を与えてきましたか。

     

    (ヒ):私にとってコラージュはとても重要です。それが単に異なる要素を組み合わせる方法というだけではなく、それによって作品の中にある種の「事件」が生まれないかを見ているのです。ペインティング、ドローイング、ビデオ作品、いずれにおいても、予想不可能な何かを探しています。コラージュのプロセスにおいては、普段絵の中に予測されることを置き換えることで、予想しえないことに出会う可能性が高まるのです。

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    Installation view: "An Exposition", President’s Young Talents 2018 Exhibition, Singapore Art Museum, 8Q @SAM, Singapore (2018)
    Image courtesy of Singapore Art Museum
     
  • (オ):最近の一連のペインティング、またビデオ作品において、「劇作法」というコンセプトについて探索を続けています。これについて語っていただけますか。

     

    (ヒ):私は、映画と劇に関するイメージがどう作られるのかについてずっと興味を持ってきました。通常、観客の目に現れるのは、スムーズで、完成された芸術の様態であり、舞台裏でそれがどう構成されてきたかは明らかにされないことが多いのです。「作られた」という感覚を可視化し、既存のナラティブを問い直す方法として、舞台芸術の技術的な側面を指す「劇作法」について考えていくようになったのです。

     

     

     

    ヒルミ・ジョハンディの個展「Landscapes and Paradise: Poolscapes」は、2021年10月にオオタファインアーツ東京で開催されます。展覧会の詳細は、弊廊のメールニュース、SNSのアカウントで随時発表いたしますので、是非ご登録ください。

  • 作家略歴

    ヒルミ・ジョハンディ(1987年、シンガポール生まれ)は、シンガポールにて活動中。2018年、シンガポールNational Art CouncilよりYoung Artist Award を受賞。近年の主な個展に「Painting Archives」Rumah Lukis、クアラルンプール(2019)、「Stagecraft: Landscapes and Paradise」オオタファインアーツ、シンガポール(2019)、「An Exposition」President’s Young Talents 2018 Exhibition、Singapore Art Museum 8Q @SAM、シンガポール(2018)、「Dusk to Dawn | Fajar ke Senja」OCBC Artspace Galerie Steph、シンガポール(2014)など。近年の主なグループ展に、「Progressive Disintegrations」 Objectifs Centre for Photography and Film、シンガポール(2020)、「Art Way ASEAN Way」 Art Mill Songkhla Art Center、ソンクラー、タイ(2017)、 「Echoes I, Public Art Toride」取手市(2016)、 「Figment of Film」ADMギャラリー、南洋理工大学、シンガポール(2016)、「Flux – City of Change」Strata Art、Saatchi Gallery、ロンドン(2013)など。

     

    作家についてのより詳しい情報は、こちらをご覧ください。