見附正康は石川県加賀市出身の赤絵作家で、九谷焼の伝統を継承しつつ、現代的な視点でその可能性を追求しています。彼の作品は、精緻な線描と点描を駆使し、伝統的な文様を基にした幾何学的でリズミカルなデザインが特徴です。一見無機質にも見えるこれらのパターンには、麻の葉や亀甲のような日本の伝統柄から、アラベスク風、中世ヨーロッパ風の柄など、さまざまな文化の要素が融合しており、時代も文化も超越する独自の赤絵スタイルを生み出しています。
赤絵は酸化鉄で描かれ、中国・南宋時代に誕生した後、日本に伝播し、伊万里や京都、そして九谷で装飾技法として発展しました。見附はこの伝統的技法に従い人物や花鳥を描く一方で、独自の文様やパターンを発展させています。瓔珞(ようらく)や七宝文などの古典的な文様を部分的に用いながら、これまでにない全体イメージを創出しており、特に中心を生かした大皿に描かれる作品では、この傾向が顕著です。これらの作品は、伝統技術の素晴らしさによって支えられながら、鑑賞者を魅了し、九谷焼の新たな可能性を示しています。
2016年の個展では、直径約50センチの大皿を中心に、麻の葉や亀甲などの伝統的意匠を現代的な幾何学模様に昇華させた作品を発表しました。手描きとは思えないほど精緻な線と点で構成され、鑑賞者を圧倒する美しさを備えています。
2022年の個展では、円形の大皿に加え、三角柱状の立体作品も発表し、伝統的な平面構成から一歩踏み込んだ「建築的」なアプローチを試みました。正確に描かれた線と点が、麻の葉模様や織物模様などの伝統的意匠を基に、現代的な幾何学模様として展開されています。また、金彩や青色の釉薬をアクセントとして用いることで、白磁の清澄さと赤絵の色彩が調和し、視覚的な対比が生まれています。
略歴
1975 石川県生まれ
1997 石川県立九谷焼技術研究所卒業
九谷焼作家、福島武山氏に師事
現在 石川県加賀市を拠点に活動
主な個展
2022 「見附正康」オオタファインアーツ(東京)
2021 「見附正康」しぶや黒田陶苑(東京)
2016 「見附正康」オオタファインアーツ(東京)
2009 「見附正康」オオタファインアーツ(東京)
2007「見附正康」オオタファインアーツ(東京)
2017「見附正康」しぶや黒田陶苑(東京)
主なグループ展
2010 「第 1 回金沢世界工芸トリエンナーレ」 金沢 21 世紀美術館(石川)
2011 「REVALE NIPPON PROJECT-中田英寿、現代陶芸と出会う-」茨城陶芸美術館(茨城)
2012 「工芸未来派」金沢 21 世紀美術館(石川)
2015 日本・スイス国交樹立 150 周年記念「LOGICAL EMOTION-日本現代美術展」
Museum Haus Konstruktiv(チューリヒ、スイス)ほか巡回
「japanese kougei/future forward」The Museum of Arts and Design(ニューヨーク、アメリカ)
2016 「REVALUE NIPPON PROJECT」パナソニック 汐留ミュージアム(東京)
2017 「工芸未来派:工芸ブリッジ」EYE OF GYRE(東京)
2018 「やきものを分析する-装飾編-」兵庫陶芸美術館(兵庫)
2019 「形山コレクション 茶碗-掌の銀河-」岡山県立美術館(岡山)
2020 「無形にふれる」銀座ポーラミュージアムアネックス(東京)
「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」パナソニック汐留美術館(東京)ほか巡回
2021 「No Man's Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」兵庫陶芸美術館(兵庫)
2022 「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」国立工芸館(石川)ほか巡回
「ジャンルレス工芸展」国立工芸館(石川)
主な受賞歴
2014 第 9 回パラミタ陶芸大賞展 大賞
2016 石川デザイン賞
2019 第 39 回伝統文化ポーラ賞 奨励賞
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Masayasu MitsukeUntitled, 2020Kutani ware, Akae (red-enamel)H15.5 x Dia.49.9 cm
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Masayasu MitsukeUntitled, 2020Kutani ware, Akae (red-enamel)H14.1 x Dia.49.7 cm
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Masayasu MitsukeUntitled, 2017Kutani ware, Akae (red-enameled)H11.3 x dia.48.2 cm
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Masayasu MitsukeUntitled, 2016Kutani ware, Akae (red-enameled)H11 x dia.48.5 cm
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Masayasu Mitsuke無題(蓋物), 2014Kutani ware, Akae (red-enameled)h7.5 x dia 21cm
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Masayasu MitsukeUntitled, 2013Kutani ware, Akae (red-enamel)H11.0 x Dia.48.0 cm
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アジア散歩
リナ・バネルジー、ホー・シンタン、イ・スギョン、小池真奈美、猪瀬直哉、マイ・チュンテュー、見附正康 2012年7月24日 - 8月31日 Tokyoオオタファインアーツでは、7月24日より夏のコレクション展「アジア散歩」を開催致します。 近年のアジア諸国の台頭は政治や経済面のみならず、文化面の枠組みの再考をアジアに住むわれわれ自身にも迫ります。そうした再考が求められるのは、たとえば近隣...Read more -
イ・スギョン / 見附正康
イ・スギョン、見附正康 2009年5月30日 - 7月4日 Tokyoイは1963年にソウルで生まれ、現在もソウルで活動を続けています。自国の文化の記憶や現代人の共通感覚をもとに幅の広いコンセプチュアルな作品を展開するイですが、今回の展示では伝統的な陶磁器工房から集めた不完全な破片を再構成した立体と、辰砂と呼...Read more -
見附正康
見附正康 2007年11月22日 - 12月15日 Tokyo見附正康は1975年石川県加賀市生まれ。現在も加賀市に在住し制作しています。石川県立九谷焼技術研修所を卒業後、福島武山に師事し九谷に伝わる赤絵の技術を取得しました。 酸化鉄で描かれる赤絵は中国の南宋時代に作り出されたあと日本に伝播し伊万里や...Read more -
New Acquisition
見附正康、竹川宣彰、さわひらき、照屋勇賢、草間彌生、小沢剛、立石大河亞、徳重道朗、東恩納裕一、郭奕臣 2006年7月11日 - 8月26日 Tokyo
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見附正康
「室礼の美」思文閣銀座、東京 2023年11月25日見附正康は、2023年11月30日から2023年12月13日までの期間、 東京の思文閣銀座で開催される「室礼の美」に参加します。 タイトル GINZA CURATORS ROOM #006 宮津大輔 ...Read more -
見附正康
トーク「国立工芸館とこれからの工芸 -12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクトから」KOGEI Art Fair Kanazawa、ハイアットセントリック金沢 2023年11月15日見附正康は「KOGEI Art Fair Kanazawa 2023」のトークショーに参加します。 タイトル: 「国立工芸館とのこれからの工芸」 -12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクトから...Read more -
見附正康
インタビュー動画 オンライン公開、WHAT MUSEUM、東京 2023年9月10日高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャ ー日本現代アートのDNAを探るー」展会場のWHAT MUSEUMにて収録された見附正康のインタビュー動画が、オンラインにて公開されました。 制作のデ...Read more -
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「九谷赤絵作家・見附正康 トーク&デモンストレーションイベント」WHAT MUSEUM、東京都 2023年6月23日見附正康は2023年7月10日に WHAT MUSEUMにて高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャー日本現代アートのDNAを探るー」展に関連するトーク&デモンストレーションイベントに参加い...Read more