竹川宣彰

Overview

目的地に辿り着いたら、そこは、自分の目指した場所ではなかった、、、そんな経験はよくある事です。身の回りが日々めまぐるしく変わる中で、目的地に深い意味なんてないと私は感じています。

私が描くドローイングの地図は、線が線を白々しく飛び越えてゆきます。決して線が重なる事がない、目的地に辿り着くことのないドローイングです。このシリーズは当初、「線が重なる事への違和感」という、絵画的な問題からスタートしています。

そうした状況の中で私が興味深いのは、自分を取り巻く風景、出会いや、スピード感、つまり自分がどこかに向かって動いている感覚です。こうした、自分の肌により近い、存在の明解なものは同時に、とても不可解で、何か超越的な存在にも思えるのです。

展覧会の会場には、そういった私個人にとって明解で不可解なものたちが、ただ設置されています。入手したての中古のヨット、父親との囲碁の対局、カラスの解剖などです。

こうした設置やドローイングのビジュアルがなにかしら、皆さんの感覚に届き、共感できれば幸いです。

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