Mille Côtes: 南隆雄
オオタファインアーツでは、東京スペースで9年ぶりとなる南隆雄の個展を開催します。展覧会と同タイトルを冠した《Mille Côtes》(2024–2025年)は、南自身がフランス南東部のヌーベル・アキテーヌ地域圏を巡って集めた映像と音響の記録を、コラージュのように再構成したビデオ作品です。南は、リモージュを起点に河川・湖沼・滝・湿原・海岸といった水辺を円環を描くように移動し、1か月をかけて作品の素材を集めました。液体・気体・個体と循環を繰り返し時に鏡ともなり得る“水”は、近年統合された当該の複数地域を繋ぐ媒介として、南にとって象徴的な意味を持つものでした。水源から流れ出す小川や渓谷の広がる上流域、ダムや発電所といった近代的施設も散見される中流域、湿地から大洋へと注ぐ下流域、それらの間に横たわる景観の変容。RGBによる光の三原色を想起させるネオンのような色合いで構成された水辺の風景には、水面のゆらめき、鳥や昆虫の羽ばたき、木洩れ日や風のそよぎといった繊細な自然の表情までもが、不思議と瑞々しく描出されています。

