インタビュー:転塘のプレーヤー、ヨアダ

2020年6月16日 - 7月31日
  • ¥ouada, Courtesy of Ota Fine Arts
  • ヨアダ は1987年福建省生まれ、杭州にて活動。中国美術学院を2011年に卒業後、ペインティングとインスタレーション作品を中心に制作を展開する。現在、オオタファインアーツ上海で現在開催中の展覧会「When many pass one away…」では4点の平面作品と、マーティン・ゴヤ・ビジネスとの合作による立体作品を発表。今回はまだまだ謎多き制作の工程や経験について、ヨアダにインタビューを行った。

    展覧会「When many pass one away…」についての詳細は、こちらをご覧ください。

  • ヨアダ:アーティストインタビュー

    O: Ota Fine Arts | Y: ¥ouada
  • O:作中やご自身の紹介にしばしば「Zhuantang (転塘:杭州にある地名)」が出てきますが、転塘はあなたにとってどのような場所でしょうか。作品制作に影響を与えているのであれば教えてください。

    Y:かつての転塘と現在の転塘は2つの全く別の街だと感じています。私が最初に住み始めたころは、安アパート、赤線地帯、おなかを壊しそうなレストラン、窃盗、指が転がっているスーパーのトイレ、違法薬物の屋台、他にも多くの「都市伝説」を聞きました。そんな映画に登場する深夜の犯罪都市のような街でした。幼少期の想い出や見た映画、流行のブランド、それからこの街のギャングたちが入り混じったものが作品のモチーフになっています。

  • ¥ouada, 'This car can be sold for two million', 2018, Acrylic and spray paint on canvas, 200 x 200 cm...

    ¥ouada, "This car can be sold for two million", 2018, Acrylic and spray paint on canvas, 200 x 200 cm ©¥ouada

  • O:LVのロゴは出展中の「This car can be sold for two million (この車は2ミリオンで売れる)」の他、いくつかの作品に登場しますが、それらが持つブランド力や消費者の捉え方について何か考えがありますか?

    Y:私は消費主義についてはあまり知りませんが、お金を使うのは好きです。

     

    O:ご自身で作品を集めるのは好きですか?お気に入りの作品があれば教えてください。

    Y:はい、あまり値段の高い作品は買えませんが、自分のコレクションはすべて気に入っています。

     

    O:刺青を複数入れていると伺っていますが、刺青とご自身の作品についてなにか関係はありますか?

    Y:刺青は私の趣味の1つです。他の人に彫るのも、彫ってもらうのも、自分で自分に彫るのも含めてです。即興で彫ってもらったタトゥーも多くあります。私の身体に一番多く入っているデザインはパイナップルで、福建省南部では幸運が訪れる魔法のシンボルとされています。

  • Installation view:“When many pass one way…”, 2020, Ota Fine Arts Shanghai, Courtesy of Ota Fine Arts
  • O:子供の頃はゲームやアニメに没頭していましたか?作中にも見られるキャラクターの真似、模写などはその頃からしていたのでしょうか?他にも幼少期の思い出があれば教えてください。

    Y:私は昔も今もゲームやアニメに多くの時間を費やしています。子供の頃はアニメのお気に入りのキャラクターをたくさん真似たりアレンジしたりして描いていました。幼少期はかつての転塘のような混沌とした街で過ごしました。街に溢れる暴力団や「寺のギャング」、そして美しい灼熱の太陽、みんないい思い出です。

  • ¥ouada, 'Happy picnic at Zhuantang Town', 2019, Acrylic on canvas, 80 x 120 cm ©¥ouada

    ¥ouada, "Happy picnic at Zhuantang Town", 2019, Acrylic on canvas, 80 x 120 cm ©¥ouada

  • O:スタジオでの1日の過ごし方を教えてください。

    Y:スタジオは携帯の電波がほとんど入らないので、スタジオにいる間はとても集中して制作ができます。信じられないほど生産的に過ごしています。

     

    O:COVID19による自粛期間中、一番強く思ったことは何でしょうか?

    Y:人類は自然をもっと尊重し、日常の些細なことを大切にしていくべきです。

  • アーティストについて

    ヨアダ 1987年、福建省漳州市生まれ。現在は杭州を拠点に活動。2011年、中国美術学院卒業。主な個展に「¥OUADA: WHAT THE HELL」Tong Gallery、北京(2019)、「Play Me Love YOU」swim Gallery、ロサンゼルス(2018)。主なグループ展に「Conscious Game」Shanghai Duolun Museum of Modern Art、上海(2019)、「Just what is it that makes today's homes so different?」成都当代美術館、成都 (2018)。