Biography

半田真規は、出会った風景や物事を契機として、そこに自らの感覚を開き、時に支離滅裂で流動的な世界をインスタレーションや大型彫刻として作品化する。

半田真規は、日々出会う風景や出来事を起点に、自分の感覚を深く開きながら、複雑で流動的な現実を作品として表現していくアーティストです。偶然の発見や、知覚の揺らぎに敏感に反応しながら、それらを丁寧に組み立て、詩的で奥行きのある空間へと変換しています。作品はしばしば断片的な要素を含みながらも、鋭い洞察を内包しており、独自の視覚世界を築いています。
テーマとしては、都市の風景、宗教的儀礼、無意識に刻まれた記憶など、目には見えにくいけれど確かに存在するものに注目し、インスタレーション、彫刻、絵画など幅広い表現手法を用いています。植物、布、木材、金属といったさまざまな素材を取り入れながら、空間全体を使って、見る人の身体感覚に訴えかける作品を展開しています。
代表作《nakakiyo no entakukei》では、熱帯植物の形や和歌の感性、土地に宿るスピリチュアルな感覚を組み合わせ、有機的で建築的な空間を生み出しました。時間の経過や素材の変化を積極的に取り入れることで、一瞬のなかに浮かび上がる詩的なリアリティを追求しています。また、《150 hedron》や《Golden Cloud》では、イスラーム文化圏の宗教的な風景に目を向け、複数の文化や信仰が交差する都市の姿を造形として表現しました。
2008年には、ロレックスの国際的メンター制度においてレベッカ・ホーンのプロテジェに選出され、ヨーロッパ各地で制作や対話を行いました。空間を詩的な構造として立ち上げるという考え方を深める貴重な機会となり、現在の作品にもその経験が色濃く影響しています。
2022年にはハワイ・トリエンナーレに参加し、太平洋の自然や文化的記憶に呼応したインスタレーション《127 Scenes》を発表。土地のスピリチュアリティと制作プロセスが融合した作品は、半田の表現が地政学的なテーマにも広がる可能性を示しています。
また、2019年にはベネッセアートサイト直島による犬島プロジェクトに参加し島の風土や歴史に長期的視座から関わるアーティストとして、新たな「場」の想像にも取り組んでいます。こうした経験を通じて、他者との共在性や、目に見えない知覚の領域を造形言語として捉える姿勢が、作品全体に深く息づいています。
半田の作品は、アジア的なスピリチュアリティや土地の記憶といったテーマを、現代の視点で再解釈する試みであり、詩的な感性と鋭い知覚によって構築される造形実践として、国際的にも注目されています。



略歴
1979年 神奈川県生まれ
2003年 東京藝術大学美術学部卒業
2008年 ロレックス メンター&プロテジェ アート・イニシアチブ(メンター:レベッカ・ホーン)
2010-2012年 文化庁の助成を受けヨーロッパでのフィールドワークにより作品を制作
神奈川県在住

主な個展
2017年「A Palace」オオタファインアーツ、シンガポール
2015年「なかきよの円卓景」オオタファインアーツ、東京
2013年「nakakiyo no entakukei」オオタファインアーツ、シンガポール
2010年「変成態―リアルな現代の物質性」αMプロジェクト2009企画、東京

主なグループ展
2023年「The Rolex Arts Festival」アテネ国立現代美術館(アテネ、ギリシャ)
2022年「Hawai‘i Triennale 2022: Pacific Century – E Ho‘omau no Moananuiākea」ハワイ・トリエンナーレ(ホノルル、アメリカ)
2019年「瀬戸内国際芸術祭2019」(犬島、岡山)
2015年「TWO STICKS」ヴロツワフ建築博物館(ポーランド)
2015年「ERASURE: FROM CONCEPTUALISM TO ABSTRACTION」オサージュ香港、香港城市大学(香港)
2011年「世界制作の方法」国立国際美術館(大阪、日本)
2007年「夏への扉--マイクロポップの時代」水戸芸術館(茨城)
2006年「越後妻有トリエンナーレ」新潟

主な所蔵先
東京都現代美術館(東京)
高橋コレクション(東京)
大和ラヂエーター(広島)
国際交流基金(日本)

Works
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