タン・ディシン

Overview

上海の現代美術家タン・ディシン(1982年生まれ)の個展。タンは昨年MoCA上海での「REVEL―Celebrating MoCA's 8 years in Shanghai」や、北京のユーレンス現代美術センター(Ullens Center for Contemporary Art)での「ON|OFF: China's Young Artists in Concept and Practice」に参加し、また本年9月には光州ビエンナーレに出展を予定するなど、中国現代美術の新世代を代表する作家の一人として、広く認知されつつあります。本展では、作家の絵画5点と過去のパフォーマンスの記録映像3点、そして展示初日7月5日(土)には作家自身によるライブ・パフォーマンスを行います。

1980年代生まれのタンは、パフォーマンスや絵画、インスタレーションといった様々な手段を用いて、中国の美術界や社会に通底する問題をアイロニカルに批評するような作品で知られます。たとえば初日に行われるパフォーマンス《Rest is the Best Way of Revolution(休息は最高の革命である)》は、観客の胴体に石膏ギプスをとりつけ、なかば強制的に作品の一部にしてしまうインタラクティブな作品であり、上海MoCAでも発表されました。作家は自らの身体性と観客との位置関係を巧みに操る一方で、その場がうつろいやすく演劇的であることを自覚しており、社会や美術界の不安定なシステムそのものを演出します。

本展ではタンの過去のパフォーマンスの記録映像も上映されます。《I Will Be Back Soon(すぐに戻ります)》は、観客が遠くに投げた物を作家が取りに行き「すぐに戻る」という作品で、タンは現代における他者との関係性を表現しようと試みました。また、互いの言語を全く理解しないタンともう一人の青年が、ジェスチュアやスケッチでコミュニケーションを行いながら二人で上海近郊の島を旅する様子を記録した《Reed(葦)》では、最終的にタンが穴を掘って青年を埋めてしまいます。身体を使ったパフォーマンスはときに過激でもあり、2010年の上海万博博覧会の期間中に地下鉄の線路に飛び込み、その身体のうえを電車がすり抜けるまでの様子をビデオ撮影した《Act of God(不可抗力)》は、タンの活動のなかでも最も知名度が高いものです。そうした過激さは、石を背負ったまま自らの身体を湖に沈める《Backpack(バックパック)》にも共通します。

大学で油画を専攻したタンは、諧謔に富む絵画も多く制作します。パフォーマンスとは一見全く異なる表現のようですが、互いに補完し示唆し合っています。たとえば《Yellow Peril(黄禍)》はその題名とは裏腹に、画布にはアジア人の少年が悪戯に目を吊り上げる行為が描かれ、行為そのものには政治、歴史、事件といった意味が取り除かれています。そうしたパラドクスは《On the Lake(湖上にて)》においても見られ、舟に乗った人物がもう一人の人物を湖に沈めるという暴力的なシーンが描かれているにもかかわらず、湖面は微動だにせず静謐なムードが満ちています。《Involved(巻き込まれて)》での、分解され絡み合うように再構築された腕や脚が象徴するように、作家は絵画というメディウムで「自らの身体が忘れてしまった自分自身の一部を追及している」と言います。

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