照屋勇賢は、トイレットペーパーの芯、ファーストフード店の紙袋、国旗や蝶のさなぎなど、日用品や身近なオブジェクトを用い、時にそれらの使用法を変え、意味をずらすことで、日頃気付かずに接している日常生活の枠組みや問題を、鮮やかな洞察力をもって作品化します。
代表作「告知―森」では、ファーストフード店の紙袋や有名ブランドの紙袋に微細な切り込みを入れ、紙袋の中に街路樹などの実在の木をモデルとした木をつくりだします。紙袋はそもそも木から作られた工業製品であり、紙に留められた木の記憶を呼び起こし、この作品は木を再生させる試みである。と照屋は語ります。声高にではなく、大量消費社会と森林破壊を繰り返す現代社会に、静かに警告を与えつつも、ゴディバの金色の紙袋が紅葉した黄金色の樹木へと再生する手法は、私たちを幻惑させます。
照屋は、故郷である沖縄を作品制作の主題としており、紅型を用いた作品「結い You-I」では、紅型の伝統的なモチーフである花鳥とともに、戦後沖縄の最大の問題ともいえる在沖米軍の戦闘機、パラシュート部隊、さらに絶滅が危惧される辺野古周辺海域に生息するジュゴンなどの模様が巧みに配置されています。一見して美しい紅型は、地域住民との軋轢を常に生み出し、現在も沖縄本土の約20%を占める米軍基地が、沖縄の一風景としてそこに存在することを静かに示しています。作品タイトルの-結い-とは相互扶助の精神に基づく共同作業の制度であると同時に、英語ではYou-I、他者と私を意味し、楽園のイメージをふされた南国沖縄と基地問題をかかえる沖縄の二面性、日本、沖縄、米国という立場も価値観も異なる他者がいかにして共存するかを私たちに考えさせます。
同様に、最新作「Heroes」においては、沖縄民権運動の瀬長亀次郎やウルトラマンなどの沖縄にとってのヒーロー、また1999年から居住するアメリカにおけるヒーロー、バラク・オバマやアメリカ原住民のジェロニモに加え、ポップスターの安室奈美恵や昭和天皇などの著名人のポートレートを紅型で染め上げています。統治者と被統治者、崇拝する者とされる者、自国にとっての英雄と他国にとっての敵といったきわめてポリティカルな主題を扱いつつも、照屋は鮮やかな色彩と詩情豊かな表現で観者をひきつけ、多様な立場や価値観とそこに横たわる大きな問題を私たちに気づかせてくれます。
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islands
アキラ・ザ・ハスラー、竹川宣彰、タン・ディシン、半田真規、さわひらき、樫木知子、照屋勇賢 2021年1月9日 - 2月13日 Tokyoオオタファインアーツでは、ドローイング等の小作品を中心としたグループ展 「islands」を開催します。互いに近い距離にありながらそれぞれ独自の文化を持つ群島のように、東アジアという同じベースを持ち...Read more -
Be there
アキラ・ザ・ハスラー、キリ・ダレナ、嶋田美子、竹川宣彰、照屋勇賢 2018年5月15日 - 7月7日 Tokyoこのたびオオタファインアーツでは、社会的なメッセージを内包する作品によるグループ展「Be there」を開催いたします。「Be there」という言葉は、'デモや集会に参加しよう'という意味で合言葉として使われているものです。展覧会名には、...Read more -
常設展
2015年12月8日 - 2016年1月16日 Tokyo草間彌生 照屋勇賢 南隆雄 アキラ・ザ・ハスラー ジェイ・フローレス・ティカール リナ・バネルジー ジャン・アンリRead more -
彫刻
モニール・ファーマンファーマイアン、ジャン・ワン、イ・スギョン、藤木倫史郎、照屋勇賢、アキラ・ザ・ハスラー、草間彌生、埴輪 2010年5月22日 - 7月3日 Tokyo本展覧会は、私どもの取扱い作家に加え、アジア色の強い立体作品を集めてみました。東は中国から西はイランまで、アジアの文化の帯を辿ります。 1925年イランに生まれたモニール・ファーマンファーマイアンのウォール・スカルプチャーは、イランの伝統的...Read more -
スローガン
猪瀬直哉、照屋勇賢、島田美子、アキラ・ザ・ハスラー 2009年9月7日 - 10月10日 Tokyo私どものギャラリーのある中央区勝どきはもともと「勝 ち鬨」と表記され、軍隊が「えいえい、おー」と声を上 げる雄たけびを意味します。スローガンの語源は北部 ヨーロッパで使われていたゲール語による「えいえい、 おー」、まさしく「勝どき」であると...Read more -
New Acquisition
見附正康、竹川宣彰、さわひらき、照屋勇賢、草間彌生、小沢剛、立石大河亞、徳重道朗、東恩納裕一、郭奕臣 2006年7月11日 - 8月26日 Tokyo -
常設展
白井美穂、前川知美、草間彌生、アキラ・ザ・ハスラー、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、照屋勇賢 2005年12月6日 - 2006年1月27日 Tokyo -
明日はどっちだ
Tomomi Maekawa, Takao Sakai, Ligyung, Yuken Teruya 2005年1月22日 - 2月19日 Tokyoこのグループ展は、未来への不安な気持ちを抱えつつ働き、恋をし、旅をするギャラリーアシスタント2名が企画する展覧会です。 「明日はどっちだ」とはヒロイックな「明日のジョー」の主題歌で知られる男性的なセリフでしたが、不安とほんの少しの希望が入り...Read more
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照屋勇賢、ザイ・クーニン
「コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the Islands 航路 - 島々への接続」金沢21世紀美術館、石川 2023年1月17日照屋勇賢とザイ・クーニン は2022年11月3日(木)から2023年3月19日(日)まで金沢21世紀美術館にて開催される「コレクション展2 Sea Lane - Connecting to the I...Read more -
照屋勇賢
「Mercedes-Benz Art Collection: Friendship. Nature. Culture」 Mercedes-Benz Contemporary Berlin、ドイツ 2022年7月20日照屋勇賢は2021年10月23日から2022年8月21日までベルリンのMercedes-Benz Contemporary にて、グループ展「Mercedes-Benz Art Collection:...Read more -
照屋勇賢
「Unterritorial Territory」Gallery 9.5 NAHA、沖縄 2022年7月5日照屋勇賢は2022年4月15日から8月28日までGallery 9.5 NAHAにて個展「Unterritorial Territory」を開催しております。 展覧会名: 「Unterritori...Read more -
照屋勇賢
「MOTコレクション Journals 日々、記す」東京都現代美術館、東京 2021年7月13日照屋勇賢は2021年7月17日から10月17日まで東京都現代美術館にてグループ展「MOTコレクション Journals 日々、記す」に参加いたします。 展覧会名:__/stro...Read more