Biography

BuBu de la Madeleine(ブブ・ド・ラ・マドレーヌ)は、1990年代前半にアーティスト・グループ「ダムタイプ」の初期メンバーとしての活動を開始しました。1994年から1996年にかけて15ヵ国20都市を巡回したパフォーマンス《S/N》の出演後にダムタイプを離れてからは、ソロアーティストとしてパフォーマンス、インスタレーション、テキスト、映像など多様なメディアを用い、鋭い批評性と深い詩性、そしてユーモアに富んだ作品を発表しています。同時にブブは、HIV/エイズとともに生きる人々やセックスワーカーなどの健康と人権に関する市民運動にも携わってきました。また、クラブシーンでドラァグ・クイーン/キングとしての表現活動も継続的に行っています。

ブブは、2004年から《人魚の領土》というテーマで作品を作っています。ブブにとって、「人魚」とは死者の世界である海と生者の世界である陸との境界を生きるもの、「領土」とは自己と他者との境界を示すものでした。身体を個人の領土とみなしたブブが、その後様々な身体経験--セックスワーク、家族の介護、卵巣と子宮の摘出など--を通じて重ねてきた思索を形にしたのが、2022年のインスタレーション作品《人魚の領土-旗と内蔵》です。内蔵すらも脱皮して身体を離れた人魚のウロコは、様々な呪縛から解き放たれ連なる旗となって、晴れやかに上空へと延びてゆきました。

ソロ活動の一方で、1998年にはフェミニズムアーティストであり美術史家でもある嶋田美子とのコラボレーションにより、「Made in Occupied Japan」と題した展覧会を開催します。ブブと嶋田は、異性装やドラァグによってジェンダーや国籍を撹乱することで、戦後のアメリカ統治下で日本女性のセクシュアリティやジェンダーがいかに構築されてきたかを検証しました。その先鋭的な試みは、2025年のコラージュ作品「明治怒羅亜愚反帝戯画双六」において、日本の近代化と帝国主義を問い直すというより壮大かつ滑稽な作品に結実します。ふたりの脱構築的実践は、日本におけるクィア/フェミニズム表現の先駆的事例と言えるでしょう。


略歴
1961年:大阪生まれ
京都市立芸術大学構想設計専攻卒
1992年:ダム・タイプに参加、《S/N》(1994-96年)出演

主な個展
「花粉と種子」(オオタファインアーツ7CHOME、東京、2024年)
「人魚の領土-旗と内蔵」(オオタファインアーツ、東京、2022年)
「人魚の領土」(オオタファインアーツ、東京、2004年)
「メイド・イン・オキュパイド・ジャパン」(嶋田美子とのコラボレーション展)(オオタファインアーツ、東京、1998年)

主なグループ展
「Rooms Of Our Own」オオタファインアーツ上海、2025年
「Berlin Biennale: passing the fugitive on」(ベルリン市内、2025年)
「コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す」(国立国際美術館、2025年)
「コレクション2 身体──身体」(国立国際美術館、2024年)
「セックスと消費主義」ブライトン大学(2001年)
「JAPAN UNLIMITED」(frei_raum Q21、ウィーンMQ、2019年)
「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」(アーツ前橋、2019年)
「どないやねん!」(パリ国立高等美術学校、1998年)

主な収蔵先
国立国際美術館(大阪)
東京都現代美術館(東京)

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